【モニターレビュー】初心者がティルトシフトレンズ TS-E24mm F3.5mm IIを使ってみた【作例あり】

Canonの有料会員制サービス「キヤノンフォトサークル」の会員向けに毎月開催されている抽選で好きなレンズやボディ、アクセサリ(掲載されているものに限る)を一定期間貸してもらえるという機会を今回ラッキーなことに頂けたのでレビュー。

最初に申し上げておきたいのですが、筆者は特にTS-Eレンズ(ティルトシフトレンズ)に関しては初見のずぶの素人なので「初心者がTS-Eレンズを初めて触ったら」という前提で記事をご覧頂けたらと思いますのでよろしくお願いします。

 

TS-E24mm F3.5mm II

 

付属フード(EW-88B)を付けた場合

 

シフト機能使用時

ティルト機能使用時

オートフォーカスは搭載しておらず、マニュアルフォーカスオンリーです。そのため、型番にUSMの文字列がないのも印象的。フルサイズ、APS-Cどちらでも使用可能ですが、内蔵ストロボ搭載機など一部の機種はレンズの可動時にボディと干渉するそうなので注意。

 

ティルトシフトレンズとその使い方

キヤノンTS-Eレンズは、EOSカメラ用アオリ(ティルト・シフト)機構搭載レンズです。アオリ機構は撮影範囲や被写界深度のコントロール、像変形の修正など、一般のレンズでは不可能な高度な撮影を可能にします。

TS-E17mm f/4L, TS-E24mm f/3.5L II 使用説明書 – tse24f35lii-im2-jpn.pdf

TS-Eレンズ(ティルトシフトレンズ)は説明書によると以上のように説明されています。

ティルト機能では、ピントの合う範囲を調整でき、シフト機能では通常はアオらないと撮れないような写真がレンズをシフトすることで水平を保ったまま撮影でき、通常アオった場合に起こる像の歪みを矯正することができるといった感じです。(間違ってたらすみません。)

応用的な使い方としてはシフト機能を使うとカメラの位置を固定したまま、上下または左右に構図を変えられるので鏡のような反射の多い被写体にカメラを写り込みなく撮影することも可能になります。

用途としては建築物撮影、商品撮影などの物撮りによく使われるようです。

 

作例

参考になるかわかりませんが作例です。三脚を持っていけなかったので手持ちですがカメラ内水準器を使い極力水平を意識して撮ってますので勘弁してくだしあ。

機種 : Canon EOS 5D Mark IV ISO感度 : 250 シャッタースピード : 1/160秒 レンズ絞り値 : F9.0 レンズの焦点距離 : 24.00(mm) 撮影モード : マニュアル TS-E24mm f/3.5L II

↑ティルト機能もシフト機能も使用せず水平に撮影。

機種 : Canon EOS 5D Mark IV ISO感度 : 250 シャッタースピード : 1/160秒 レンズ絞り値 : F9.0 レンズの焦点距離 : 24.00(mm) 撮影モード : マニュアル TS-E24mm f/3.5L II

↑シフト機能のみ使用。1枚目の写真と同じ立ち位置で撮影。

このように本来水平で撮影すると全体が画角に入らない被写体をシフト機能を使うことで水平を保ったまま撮影することができます。通常こういう構図の場合、カメラを斜め上に向けて撮影せざるを得ません。そうすると建物等は上すぼみに歪曲が出てしまいますがシフト機能を使った場合、実物の見た目に近く自然です。

 

機種 : Canon EOS 5D Mark IV ISO感度 : 800 シャッタースピード : 1/100秒 レンズ絞り値 : F9.0 レンズの焦点距離 : 24.00(mm) 撮影モード : マニュアル TS-E24mm f/3.5L II

↑ティルト機能もシフト機能も使用せず水平に撮影。

機種 : Canon EOS 5D Mark IV ISO感度 : 800 シャッタースピード : 1/100秒 レンズ絞り値 : F9.0 レンズの焦点距離 : 24.00(mm) 撮影モード : マニュアル TS-E24mm f/3.5L II

↑シフト機能のみ使用。1枚目の写真と同じ立ち位置で撮影。

 

機種 : Canon EOS 5D Mark IV ISO感度 : 100 シャッタースピード : 1/160秒 レンズ絞り値 : F9.0 レンズの焦点距離 : 24.00(mm) 撮影モード : マニュアル TS-E24mm f/3.5L II

↑ティルト機能もシフト機能も使用せず水平に撮影。

機種 : Canon EOS 5D Mark IV ISO感度 : 100 シャッタースピード : 1/250秒 レンズ絞り値 : F9.0 レンズの焦点距離 : 24.00(mm) 撮影モード : マニュアル TS-E24mm f/3.5L II

↑シフト機能のみ使用。1枚目の写真と同じ立ち位置で撮影。

シフト機能を使うと露出が大きく変化する場合もあります。

 

機種 : Canon EOS 5D Mark IV ISO感度 : 100 シャッタースピード : 1/400秒 レンズ絞り値 : F13.0 撮影モード : マニュアル TS-E24mm f/3.5L II

↑シフト機能は使用せず水平に撮影。今回は描写がいわゆるミニチュア風になるティルト機能(逆ティルト)を使ってみた。

機種 : Canon EOS 5D Mark IV ISO感度 : 100 シャッタースピード : 1/1250秒 レンズ絞り値 : F13.0 撮影モード : マニュアル TS-E24mm f/3.5L II

↑シフト機能を使用し水平に撮影。同じくティルト機能(逆ティルト)を使用。

 

機種 : Canon EOS 5D Mark IV ISO感度 : 100 シャッタースピード : 1/10秒 レンズ絞り値 : F3.5 レンズの焦点距離 : 24.00(mm) 撮影モード : マニュアル TS-E24mm f/3.5L II

↑ティルト機能、シフト機能使用せず水平に撮影。

機種 : Canon EOS 5D Mark IV ISO感度 : 100 シャッタースピード : 1/10秒 レンズ絞り値 : F3.5 レンズの焦点距離 : 24.00(mm) 撮影モード : マニュアル TS-E24mm f/3.5L II

↑シフト機能のみ使用。水平に撮影。

機種 : Canon EOS 5D Mark IV ISO感度 : 100 シャッタースピード : 1/10秒 レンズ絞り値 : F3.5 レンズの焦点距離 : 24.00(mm) 撮影モード : マニュアル TS-E24mm f/3.5L II

↑ティルト機能、シフト機能は使わず、カメラを傾けて全体が入るように撮影(非水平)。

比較

 

被写体は「一番くじプレミアム 劇場版天元突破グレンラガン A賞ギガドリルブレイク

シフト機能を使用した方がドリルとフィギュアの比や形状がよりフィギュア実物と近いイメージです。しかし、普段パースの効いた写真やイラストを見慣れているせいかシフト機能不使用の方が写真としては自然な印象を個人的には受けます。建築写真のような用途であればシフト機能で歪曲を抑えた画の方がいいのかもしれませんが歪曲を特別抑えたい意図がなければティルトシフトレンズのシフト機能を無理に使う必要もなさそうです。

 

シフト機能に関して使っていて特に注意が必要と感じたことは被写体に対して水平な状態で使用しないと被写体が縦伸びに歪んでしまったりと不自然な違和感のある写真になってしまうことです。説明書でも推奨されていた通り、TS-Eレンズが三脚必須とよく言われる理由がわかった気がします。

 

最後はティルト機能です。

機種 : Canon EOS 5D Mark IV ISO感度 : 100 シャッタースピード : 1/30秒 レンズ絞り値 : F3.5 レンズの焦点距離 : 24.00(mm) 撮影モード : マニュアル TS-E24mm f/3.5L II

↑シフト機能、ティルト機能どちらも不使用。

機種 : Canon EOS 5D Mark IV ISO感度 : 100 シャッタースピード : 1/30秒 レンズ絞り値 : F3.5 レンズの焦点距離 : 24.00(mm) 撮影モード : マニュアル TS-E24mm f/3.5L II

↑ティルト機能のみ使用。

ティルト機能で被写体に対してレンズをできるだけ水平に傾けると開放のF3.5でもここまでピントが合った写真が撮れます。通常のマクロレンズに被写界深度をコントロールできる機能はなく絞ったり、できるだけ被写体と水平にカメラを設置するしかないのでこのティルト機能は物撮りには威力を発揮しそうです。

 

感想

ここまでレビューしておいてなんですが、うまく扱えてる自信がないです。

水平をとったり、ちまちまとノブを回してシフトやティルトを微調整する必要があり、とにかく時間がかかるためスナップにはちょっと不向きだと感じました。逆に建築物撮影や物撮りでは他のレンズ以上の表現が可能になるのでアドバンテージです。

シフト機能だけでもできることが多く、そこにティルト、逆ティルトという要素も絡んでくるので初見ではこんがらがってしまいます。まともに使うにはティルトシフトレンズの基本をおさえた上で被写体や構図を決めなければなりませんがちょっと借りた程度では身につくわけもないのでいつか1本マイティルトシフトレンズを入手しようと思います。(まんまとCanonの策にはまっている)