劇場アニメ「花の詩女 ゴティックメード」が映像ソフト化(BD・DVD化)、ネット配信等されない本当の理由

ドリパスより画像引用

 

劇場アニメ「花の詩女 ゴティックメード」が映像ソフト化されない理由についてWikipediaではこう触れられている。

本作品は画質、音声などの収録データ容量の膨大さ故に公開当時家庭のTVで視聴可能なメディアの作成が技術的に不可能だったため、映像ソフトの発売が予定されていなかった。 このため上映期間の終了をもって鑑賞する手段がなくなるはずであった。 ところが、上映終了した映画をリクエストを受け付けて再上映するサービス「ドリパス」にリクエストが集まって再上映が決定したことがきっかけとなり、 当サービスに頻繁にリクエストが行われ、その都度日本各地の映画館で再上映されるという形で、最初の封切りから4年以上を経た2017年においても、映像ソフト化がされず劇場でのみ鑑賞できるという希有な映画となっている。

花の詩女 ゴティックメード – Wikipedia

 

また、本作の監督である永野護氏は上映イベントのトークショーで以下のように答えており、こういった趣旨の発言を別の場所でも何度か公言していたようだった。

今回の特別上映とトークショーは、公開5周年とTOHOシネマズ上野のオープンを記念して行われたが、ソフト化されていない“伝説のアニメ”のイベントということもあり、チケットはわずか1分で完売したという。永野監督は「絶対円盤(DVD)にはならないからね!」と改めて宣言し、会場からは笑いが起きていた。

花の詩女 ゴティックメード:伝説のアニメが上野で特別上映 永野監督「絶対円盤にはならないからね」 – MANTANWEB(まんたんウェブ)

 2012年に公開された劇場版アニメ「花の詩女 ゴティックメード」(永野護監督)の特別上映イベントが5日、TOHOシネマズ上野(東京都台東区)で開催され、永野監督によるトークショー…

 

私が花の詩女ゴティックメードを見たのは2016年のドリパスでの上映で、当時2012年公開の本作がBD/DVD化、配信されない理由を不思議に思い軽く調べた覚えがあるが、4Kの高画質での制作、ドルビー・アトモス9.1chのサラウンドのためデータ量が膨大過ぎてBlu-rayであっても収録できないから出ないという話が散見されたのを覚えている。

しかし、2019年の今年に入ってTwitterで公式からこのような情報が流れ来た。

 

『映画は映画館で見ろ』

 

これが最大の理由らしい。よくよく考えてみると、いくらデータ量が膨大であれ画質や音質を圧縮すれば劣化はしても最低限見られる状態にはできるわけで、現に予告編がYouTubeに上げられており普通に見られる時点で、この説には説得力がない。探してみると過去にも同じような発言をしていたらしい。

映画「花の詩女ゴティックメード」はソフト化の予定がない。NT2014年9月号で、永野監督は「映画で作ったものは映画館で見ないとおかしいじゃない?」と発言。事実上のソフト化しない宣言。見たい人はドリパスで「ファン登録」してから投票しよう。

『花の詩女ゴティックメード』BD化・DVD化についてのあれこれ – 花の詩女

http://pladress.blog.fc2.com/blog-entry-160.html

 

何度も映像を見返して考察を繰り返し、手元に作品を収蔵する性のあるマニア泣かせな話ではあるが、映画は映画館で見るものであるという監督の永野護氏のポリシーが映像ソフト化に待ったをかけているようだ。

アニメファンからすれば、映像ソフト化しない判断には否定的な意見も多いとは思うがこれについて、私はアリだと思う。深夜アニメでは円盤の売上で製作費を回収するようなシステムになっている場合が多いと聞くし、本作が円盤を売らなくてもいいということは少なくとも興行収入やその他の収益で製作費はなんとかなっているということだと思うし、製作・配給の角川書店としてはBD/DVDを売りたいだろうに結果としてクリエイターの一声が重んじられる。こういう自由が許される環境が商業主義に縛られない次の新しい作品に繋がる可能性もあり、一アニメファンとしてこういう監督の作品が今後どういう展開になるのか見てみたいと率直に思う。

 

そして、データ量が多すぎるので映像ソフト化が難しいという話も最大の理由ではないにしても本当らしい。

2018年末の監督舞台挨拶にて、この映画が4Kではなく12K、総容量1.5テラバイトであることが明かされた。データ量が多すぎるため、現時点ではUHD BD化もNETFLIX配信も不可能。簡単に言うと、12K映像とは、4Kの約9倍きめ細かい映像。1.5テラバイトとは、映画など一般的なDVDの約175枚分のデータ量。

(さらに追記:ただし今のところ『花の詩女』が12Kであるという根拠は当該イベントにおける永野護による「4Kじゃなく12K」「4Kどころか12K」の旨の発言のみである点注意)

『花の詩女ゴティックメード』BD化・DVD化についてのあれこれ – 花の詩女

http://pladress.blog.fc2.com/blog-entry-160.html

 

長くなってしまったが、画質・音質云々を抜きにしても本作では今まで見たことのないロボットのアクションシーンには震えたし、劇場アニメとしてストーリーもよく出来た一見の価値ある作品なので是非、興味のある方は劇場で見て欲しい。(現在のところドリパスの企画で毎年上映されている。)

 

 

 

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コメント

  1. umikaoru より:

    >永野護による「4Kじゃなく12K」「4Kどころか12K」の旨の発言

    この発言の趣旨は素材が縦12000(12K)ピクセルあるという意味であり、12Kの映像が存在するという意味では無いですよ。
    押井守の攻殻機動隊終盤で少女(少佐)に長時間ズームアップして行くシーンがありますが、クオリティを保つために2メートル以上で作画したという話がありますが、
    それと似たような話です。

  2. umikaoru より:

    それに計算すれば分かりますが、本当に12Kの映像が存在すると仮定すると、1.5TBなんて容量では絶対に収まりません。
    1.5TBに収めるには、一般販売のBlu-ray並に圧縮しなければ不可能です。
    しかもゴティックメードはサウンドも桁違いにリッチにしてるわけですしね。
    1.5TBの12K映像っていうのは機械音痴な人が永野護の発言を拡大解釈しただけでしょう。